ナグネの日記

ナグネ=나그네=旅人=Traveller

【2019夏ドイツ】あとがき

2020年1月25日(土)
この旅の前に体調を崩してしまい、なんとか旅には間に合わせたけど、旅の途中もかなり胃腸の調子が思わしくなかった。それを旅のあともしばらく引きずっていて11月頃に入ってようやく回復。今は毎週走れているし、気持ちも前を向いてきた。そんなところでこの旅を振り返ってみようと思う。

今回訪れた街の中で気に入ったのはヴァイマール。
ヨーロッパの街でよくある新市街と旧市街の区別がなく、観光地と居住地がうまく混ざっていて、ヴァイマールに暮らす人々の生活を少し覗くことができた。
ヴァイマールではバウハウスミュージアムゲーテの家を訪れ、居住空間へのこだわりを感じることもできた。
これまでは帰る場所なんて寝られればどうでもいいという思いもあったけど、もう根無し草であり続けるのもしんどいと思うようになってきた。帰って落ち着ける場所を作りたい。
ベースの衣食住があって、そこから時々外に出て何かを持ち帰ってくるような、今後はそんな生活ができたらと思う。

今回の旅は一人旅ではあったけど、事前に2人と会う約束をしていた。
ニュルンベルクでうちの会社の営業として働く元木さんとハノイで人材系の仕事をしているノゾミさん。どちらも僕の仕事繋がりだ。
そして、偶然の出会いでのハイライトはベルリンで会ったニック君。
まさか3回も出くわすとは。ベルリンはドイツの中では格段に広い街なのに。
彼とはまた哲学の話でもしたいと思っている。

海外で働く日本にルーツを持つ3人と会って感じたのは、まず当たり前だけど語学力が大事ということ。
大して喋れなくても旅ではなんとかなるけど、今後も関係を続けていこうという場合、言葉でのコミュニケーションが難しい人に誰が関りを持とうとするだろうか。そんなに暇な人はなかなかいない。
言葉はその人に根差している。言葉を学ぶことはその人への関心を示すことだ。
もし、世界が一つの言語に統一されたとしたら、全ての言語をリアルタイムに翻訳できる機械が出来たとしたら、旅行者やグローバル企業、言葉の壁で仕事に就けない移民達は恩恵を受けるのかもしれない。
ただ、その学びのプロセスを失ってしまうことは人類にとって一つ大切な意思表示の方法を失ってしまうことにつながると思う。
そして、言葉には怖さもある。その最たるものは戦争で、世界がつながった今、民族同士のつながりを強めるのが言葉。それから内と外を分けてしまうことが戦争のはじまりとなり、ドイツには内の中で隔てるために強制収容所もできた。
地球市民として言えば、これは僕たちがやったことだ。誰だってその芽になるものは持っている。それが芽吹かないように、壁を越える力を、壁を越えた者に寛容さを。

ドイツ語を学んでみた成果はどうだったか。
旅の中で必要なものではない。ホテルやレストランでも簡単な英語で通じる。今はスマホもある。
ドイツでドイツ語を話すことは当たり前だ。だから時々褒めてくれる人はいるけど、ほとんどはスルー。そして僕も褒めてもらいたくて学んだわけではない。
ドイツ人の友だちを作るというのが目的で始めたのだけど、今回の旅の中でその目的を果たすことは出来なかった。

日本に帰ってからは英語の教室に通った。そこで知り合った人から僕の住む街に日独協会というものがあることを教えてもらい、クリスマスパーティにも参加させてもらった。
まさか自分の住む街でドイツ語を使える場面があるとは思わなかったけど、そこで連絡を取り合えるドイツ人の友だちもできた。

2019年12月で20代最後の年に入った。想いを持って働きかけたことはすぐには叶わなくても何か別の形で返ってくるかもしれない。そう身をもって学んだことを忘れずに過ごしたい。

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Danke schön